Room Me Mine

迷子のアラフォー部屋

【case/No.010】パートナーからのモラハラで円形脱毛になりました。DVを我慢しない。暴力から私を守れるのはわたし。

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あなたの・私の周りに生息している”迷えるアラフォー女子メイコさん” の日常を、ケーススタディとして紐解く 実録コラム。

 

今回は少々ヘヴィなお話かもしれません。

ご紹介するのは、タイトル通り、恋人からのモラルハラスメントに耐えかねて頭髪が抜け落ちてしまったメイコさん(38)です。

 

家庭内での暴力行為を表す「DVドメスティックバイオレンス」という言葉は広く知れ渡っていますが、今回のメイコさんのように、恋人から受ける暴力行為は「デートDV」と呼ばれます。

2018年の内閣府の調査によると、女性のおよそ5人に1人は交際相手から被害を受けたことがあるとされています。

 

メイコさんは職場の先輩の繋がりで知り合った男性とお付き合いをしていて、もうすぐ1周年を迎えます。

30代後半になった辺りから結婚を意識し始めていたメイコさんは、2-3年ほど、結構な時間とお金を投じて婚活を展開してきました。

そしてその果てに今の恋人と出会うことができ、このままうまくいって結婚できるといいなと考えるようになりました。

 

職場の先輩がセッティングしてくれた食事会で出会った彼は、第一印象はそれほどタイプではありませんでしたが、ノリも良く、また知り合いの知り合いの知り合い的な緩い安心感もあり、その後食事に誘われそのままお付き合いに発展しました。

 

婚活でやや疲弊していたメイコさんにとって、その自然な流れはとても奇跡的で、これまでの自分の努力はこの人と出会うために必要なものだったんだ、とまで思えてきました。

 

自分とは少し異なる彼の考え方や趣味も、メイコさんにとってはとても新鮮で、自分の事を注意してくれたり、意見を主張する芯の強そうなところも、頼り甲斐があるなと思っていました。

 

しかし、交際3ヶ月を過ぎた辺りから、メイコさんは徐々にしんどさを感じるようになりました。

彼は、趣味の仲間はもちろん職場の付き合いでも、メイコさんの男性との交友関係についてあからさまに不愉快そうな態度を示しました。

さらには、女友達との付き合いにまで「意味がない」とか「無駄な集まり」などと言って制限をかけてくるようになりました。

最初はメイコさんも、彼がジェラシーを感じているのだと思い、いくつかの誘いを断ってはいましたが、次第にモヤモヤを感じるようになりました。

というのも、メイコさんの交友関係を制限する彼は、自分の交友関係については好き放題していたからです。

別に、相手が嫌がるのなら友人知人との付き合いを多少縮小することについては許容しますが、そこがアンバランスである事に、メイコさんは納得ができませんでした。

 

他にも、一緒に食事をする際には、彼のタイミングや好みで連れて行かれ、時には「最近メイコは太ってきたから」という理由で食べるものまで指定されることもありました。

彼が食事代を支払ってくれることもあり、また、ダイエットしないといけないことも事実だし、その時はモヤりながらも有り難くいただくのですが、帰宅後「何それ?」と思うことが少しずつ増えていきました。

 

しかし、彼の良い面に目を向けると、メイコさんは仕事人としての彼を尊敬していましたし、彼と一緒に居るからこそ体験できる様々なことに刺激を受けているのは事実でした。

そして、もうすぐ40になるという自分の年齢も、彼との今後の付き合いを考える上で、大きな足枷となっていました。

 

メイコさんは次第に「彼は私の事を思って言ってくれてる」「二人の事を考えてやってくれてる」「同じ事をして怒らせてしまう自分がいけないんだし」「自分が悪いんだから」と考えてしまうようになりました。

そして、できる事ならなるべく一人でいたい、彼から連絡が来なければいいのに、とまで思うようになってしまいました。

 

そんなある日、風呂あがりに髪を乾かしていたメイコさんは、鏡に映ったショッキングな自分の姿を見ました。

黒々とした頭皮の中に、ぽっかりと白い皮膚が浮き上がっていたのです。

恐る恐る鏡に近づいて髪を掻き分けてみると、そこには3センチほどの綺麗な円形のハゲがありました。

メイコさんはあまりの衝撃に思わず笑ってしまいました。

自分は結構ストレス耐性があると思っていたのに、まさか円形脱毛になるとは

以前、知人が仕事のストレスで円形脱毛になったのを見たことがありましたが、こんな風に突然自分にも降りかかってくるんだという驚きはありつつも、原因は考えるまでも無くはっきりしているという爽快感にも似た不思議な感覚で、メイコさんは変に冷静になりました。

 

病院で円形脱毛症と診断され薬を処方されたメイコさんは、円形脱毛がクセになるかもしれないと聞かされ、心を決めました。

 

自分は、彼の自分に対する扱いに、納得がいっていないんだ。

自分の選択が間違ってないと思い込みたかったんだ。

「結婚したい」「彼と別れたらもう結婚できないかもしれない」という想いのせいで目を逸らしてきた代償が、円形脱毛になって現れたんだ。

 

メイコさんは、ここ最近、自分が何を見ても聞いても「楽しくない」と感じていた事に気付きました。

そして、彼と話すことに対して恐怖心はありましたが、親しい友人にも相談した上で、彼にきちんと正直な自分の気持ちを伝える事にしました。

 

彼は怒るかもしれないと思っていましたが、予想外にメイコさんの本心の吐露に寄り添ってくれ、離れる事を受け入れてくれました。

 

もしかしたら、メイコさんに「何も楽しくない」と言われた事でプライドが傷ついたのかもしれないし、円形脱毛になる程自分を拒絶していたのかと一気に気持ちが冷めたのかもしれないし、それは分かりません。

 

でも、メイコさんにとって、彼から離れて一人になれたということは、相当に大きな一歩でした。

彼と別れ、もちろん「もう結婚できないかもしれない」という不安もありますが、それよりも、「自分は自分が好きなモノを誇りに思っていたい」とか「自分が好きだと思う”自分”を認めてくれる人と過ごしたい」というような気持ちが強くなっています。

身体が拒絶反応を示すような環境を選ぶ必要はありません。

選択肢があるのなら、自分を守るために、何が一番大切かを見極め決断していくことが大切です。

 

 

結婚、出産、育児のこと、離婚後の生活のこと・・・。

色々な不安や心配、恐怖心から、家族や恋人からのDVに我慢している人がいるかもしれません。

 

一口に暴力といっても、様々な種類があります。

精神的な暴力、身体的な暴力、経済的な暴力、性的な暴力

 

メイコさんの場合は、円形脱毛という分かりやすい症状がきっかとなりそこから逃れることができましたが、目に見える形では無くても、私たちの心身は他人からの攻撃に傷つき、蝕まれていきます。

近しい間柄の人に対して、「なぜ?」「どうして?」という疑問を繰り返し抱く時、もしかしたら相手からの行為や言動に暴力が潜んでいるかもしれないと思うことは、決して行き過ぎた考えではないと思います。

そんな時は、自分を守るためにも、親しい人に話を聞いてもらったり、それが難しい場合は然るべき場所に相談したりして、客観的に自分と相手の関係性を見るようにしてください。

あなたを大切に思う人は、必ず存在します。